地方移住への憧憬と現実の乖離

ここ数年で、コロナ禍により大切な人や資産を失うことになり悔やんでも悔やみきれない人とていらっしゃることは察する次第であります。未だに収束を迎えたとは言い難いため、暫くは用心するに越したことはないでしょう。多くのデメリットや不幸も世界に齎したコロナ禍ですが、其の一方で奇しくも世界中での技術の発展に一役買う結果となっていたのでした。代表的な例として、IT後進国に近しい日本でさえリモートワークが多くの企業に広く浸透したことが挙げられます。

そのリモートワークが可能となったことで、旅行や出張先などの遠方から仕事に着手できたり、都市部に在住しオフィスに出社し続けなくとも会社員として職務を遂行することもできてしまうのです。更には漠然と長閑な地方に移住し、都会の喧騒から脱却してストレスフリーの生活をしたいという願望も容易に実現できるようになりました。憧れがすぐ叶うのであれば、善は急げと下調べなしに行動に移してしまう人々とて僅少ではなかったのでしょう。実際の移住生活にて、想像だにしない苦難に見舞われるケースとて存在します。

例えば出身地が都市部であった場合、自動車免許なしに過疎地で生活するのは交通手段も含め不便の最たるものになります。また、買い物に於いても徒歩圏内に食品を扱う実店舗が無いこともあるでしょうし、住まいや設備環境などに対しても地方ならではの不便を強いられることもあるのです。更には本人の性質によるところではあれど、娯楽や商業施設の不足に対する不満すら想定されるものです。論えれば際限がなくなってしまう問題ではありますが、地域独自の掟や暗黙の了解のような事前に知り得ない問題も後から生じて人間関係に苦悩するケースも現実問題として存在するので、地方移住へ憧憬の念を抱く事自体は自由であれど、自身の本音と性質を熟慮したうえで実現に向け長期的なスパンでみておくのも一案になります。

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