インターネット技術の発展にともない、多くの企業や団体ではシステムやサービスの基盤としてオンプレミスからインターネット経由で利用できるクラウド環境への移行が進行している。クラウドサービスの利便性としては、いつでもどこでもインターネット接続さえあればオンラインで業務を行うことができる点や、システム運用や管理に関する負担が大幅に軽減されるといった点が挙げられる。しかしながら、このようなクラウドの特性ゆえに「クラウドセキュリティ」の確保は従来以上に重要視されるようになった。クラウドセキュリティには、多くの側面が含まれている。まず情報が管理者自身の制御下にあるサーバなどではなく、サービス提供者の管理する共有基盤に保存される性質がある。
このため、業務データや個人情報といった機密情報が、物理的分離された環境よりも、より多くの脅威にさらされる可能性が高くなる。オンライン状態が前提なので、不正アクセスや外部からの攻撃、また意図しない公開や誤操作による情報漏えいなどのリスクが増大する。データがクラウド上に存在する場合、侵入者にとっても魅力ある標的となりやすい。ひとつの脆弱性を突かれれば、多数の利用者の情報が一度に奪われてしまうこともあるため、情報保護の観点では特別な注意が求められる。とりわけインターネットを介して外部と接続することで、従来の閉じられたネットワークと比較して攻撃のきっかけが増えることも無視できない。
また、利用者自身もIDやパスワード等をどこからでも入力できる状況であり、不正な乗っ取りやフィッシングといった手法が悪用されやすくなる。オンラインでサービスやアプリケーションにアクセスできる便利さの裏側には、それだけ高度な認証やアクセスコントロールが必要となる。不正利用を防ぐためには、多要素認証やアクセス権限の厳格な管理、さらに利用者の行動を監視・記録する仕組みが欠かせない。こうした技術は新たな標準セキュリティ対策として多くのクラウドサービスで導入されている。加えて、クラウドで扱われるデータは複数の場所に分散保存される場合が多い。
サービスプロバイダーのデータセンターが物理的にどこに設置されているかによっては、適用される法規制やガバナンスの観点でも注意が必要となる。国境を越えてデータがやり取りされるケースでは、移転先の国の個人情報保護法制や契約上のルールにも配慮しなければならない。そしてクラウド独自の脅威としては、利用者同士の仮想環境が同一基盤上に混在する点が挙げられる。論理的な仕切りによって分離されているものの、構成漏洩やサービス提供者側の不備がある場合、他の利用者から意図しないデータアクセスが発生する危険性も排除できない。このため、環境分離やデータ暗号化に関する設計が重要なポイントとなる。
セキュリティの強化策としては上記の技術的対策だけでなく、組織横断的な運用ルールやガイドライン整備も欠かせない。自社で管理する部分とサービス提供者に依拠する部分を明確に区別し、それぞれの責任範囲を可視化する必要がある。また、定期的なリスク評価や緊急時対応手順、従業員への教育研修といった運用面の取り組みも併せて実践していくことが求められる。安全性を高める取り組みとしては、情報にアクセスできる権限の最小化を図る原則が適用されることが多い。業務上不要な権限を排除し、必要な期間や範囲だけアクセスを認める運用だ。
また、万一インシデントが発生した場合にも迅速に被害を限定できるよう、事前にバックアップやログの取得を確実に行うことも重要視されている。組織の規模や業種によって、クラウドの利用形態や必要なセキュリティレベルは異なるが、共通して求められるのは、情報資産が外部環境とどのように結びつき、どのような形でリスクを負っているのかを正確に把握し続ける姿勢である。クラウド環境では新たな脅威が絶えず生じるため、定型的な対策だけに満足せず、日々アップデートされる攻撃手法や新しい脆弱性情報に敏感であることが求められる。社会全体でデジタル化が進むなかで、組織や個人がクラウドサービスを利活用していくことは不可避である。それだけに、情報漏えいなどセキュリティリスクが現実となった場合の影響はますます大きくなっていく。
よって、利便性と安心感を両立するためには、継続的な対策の強化とともに、セキュリティインシデントに対する準備・対応力の向上が肝要となる。安全なデータ運用と高度なオンラインサービスの活用は、効果的なクラウドセキュリティ対策を前提とする時代となっている。今後もさらなる技術発展や業務の柔軟化のなかで、利用者自身が正しいリスク認識と適切な対処能力を身につけることが何よりも求められるだろう。インターネット技術の進歩により、多くの企業や団体がオンプレミスからクラウド環境へ移行している。クラウドの利便性として、場所や時間にとらわれず業務が行えることや、システム運用の負担軽減が挙げられる一方、クラウド特有のセキュリティリスクが顕在化している。
データがサービス提供者の共有基盤に保存されるため、不正アクセスや情報漏えい、脆弱性を突いた大規模な被害のリスクが高まる。また、国境をまたぐデータ移転や、複数利用者が同一基盤を共有する点など、従来にはなかった法規制やガバナンス上の課題も無視できない。これに対応するためには、多要素認証や厳格なアクセス管理、利用状況の監視記録、データの暗号化といった新たな技術的対策が求められるほか、運用ルールや責任範囲の明確化、従業員教育、リスク評価、インシデント対策の準備といった組織的な取り組みも不可欠である。利便性と安全性を両立させるためには、アクセス権限の最小化や定期的なログ取得・バックアップの実施など、継続的なセキュリティ強化が重要となる。日々進化する脅威や新たな脆弱性情報への敏感な対応力、適切なリスク認識と対処能力を持つことが、これからのクラウド利用者に強く求められる。